

おもてなしの心
日本の贈答文化の根底には「おもてなし」の精神があります。
「もてなし」と「うらなし」──
表裏のない真心をもって相手の立場に立ち、
自分のためではなく相手のためを思う。
その心には見返りを求めない純粋な善意が宿っています。
さらに、おもてなしは言葉や形だけでなく香りや音、
手触りなど五感を通じて伝わるもの。
贈り物ひとつにも、その心が込められているのです。


五感で感じるおもてなし
おもてなしの心は五感を通じて相手に伝わります。
美しい彩りや香り、味わい、手触りなど五感に響く体験が、
言葉以上に深く心に残るのです。


日本の贈り物文化の歴史
人と人とのつながりを大切にしてきた日本。
その想いを形にしてきたのが「贈り物」です。
季節の移ろいや人生の節目に寄り添い、
感謝や敬意を伝えてきた日本の贈答文化。
その歴史をたどると、古くから続く“こころ”のかたちが見えてきます。
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古代(飛鳥〜奈良時代)
「贈答」の起源 - 神への供物から始まった文化朝廷の贈り物 - 外交的な意味を持つ贈答儀礼
現代への繋がり: 「相手を敬う気持ち」の原点 -
平安時代
季節の贈り物 - 和歌とともに花や香を贈る文化「もののあはれ」 - 美しいものを分かち合う心
現代への繋がり: 季節感を大切にする贈り物 -
武家社会(鎌倉〜室町時代)
義理」の概念 - 恩義に対する返礼の文化 主従関係の贈答 - 忠誠心を表す手段
現代への繋がり: お世話になった方への感謝 -
江戸時代
商人文化の発達 - お中元・お歳暮の定着「粋」と「人情」 - 江戸っ子気質の贈り物
現代への繋がり: ビジネス関係での贈答文化 -
明治〜現代
西洋文化との融合 - バレンタイン、クリスマス高度経済成長 - 贈り物の多様化・高級化
現代への繋がり: グローバルな贈り物文化
日本独特の贈り物哲学「相手本位」の思想
贈り物は自分の欲しいものではなく、
相手が喜ぶものを選ぶことから始まります。
相手の好みや家族構成、生活スタイルを思い浮かべながら、
さりげない心遣いを添える──それが本当の「贈答」の姿です。
また、日本には「包み」の美学があります。
のしや水引、丁寧な包装は贈り物の一部であり、見た目の美しさや、
開ける瞬間の楽しみまでもおもてなしと考えられてきました。
贈答文化は細やかな思いやりと美意識が息づいているのです。